放っておくとどんな病気になる?
歯周病は口内に有害な雑菌が繁殖する症状で、これらの細菌は口内に留まらず、血液に入り全身に流れるため、それによって様々な他の疾患の引き金になると考えられています。
厳密にいうと口内のネバネバがそのまま血管に広がるというわけではなく、口内の細菌が血液内に入ることで、その細菌を退治しようとして体内で生成される物質や、細菌の死滅後の残骸などが血液内に浮遊したり血管の壁に付着することでネバネバとした物質になるというものです。
このように血管内で発生するネバネバもプラークとよばれており、このプラークがはがれて血管の壁に蓄積したり、細い部分で詰まったりすることで起こるのが次のような疾患です。
1.脳梗塞
2.心筋梗塞
3.動脈硬化
細菌は他の臓器でも増える
また、口内のプラークをそのまま誤飲してしまうことで起こるのが誤飲性肺炎です。高齢者の肺炎のほとんどが、歯周病によるプラークが原因で起こると考えられています。血液中に入った細菌が心臓の襞で増えることで心内膜炎を発症するリスクが高まります。
血糖値が下がらなくなる / 糖尿病が進行しやすくなる
血液中に細菌が入り込むと、血中の細菌を退治する働きを担っているマクロファージ細胞から、それらの細菌を死滅させるための物質が生成されます(腫瘍壊死因子α:TNF-α)が、この因子は血糖値を下げる働きを担うインスリンの働きを妨げるため血糖値が下がりにくくなり、それによって糖尿病になるリスクが高まります。
また、糖尿病を患っている場合には体の免疫機能が低下していることから口内環境が悪化しやすく、それによって歯周病になりやすいコンディションになり、歯周病、糖尿病の両方が進行しやすい状態になります。
早産 / 低体重児の出産
早産などで低体重で出産した場合、赤ちゃんの体の生成が十分に行われないままに生まれることで疾患や先天性の障害などを患う可能性が高まりますが、歯周病はそれらの要因の一つになると考えられています。早産は血液内の細菌を退治するために産生される因子(前述 TNF-a)が子宮内にも送られることで子宮が刺激されて起こると考えられています。統計学的にみても歯周病を患っている妊婦は早産する割合が高いことが明らかになっています。
妊娠中は歯周病になりやすい
普段歯周病と縁がない人も、妊娠するとホルモンバランスの変化により歯周病になりやすい体質になるため、妊娠中はとくに注意が必要です。